日露戦争時には国家税収の約35%を酒税が占めていました。これが「酒で日露戦争に勝った」といわれる所以です。もちろん、当時の酒はほとんど日本酒です。
さらに日露戦争以後には、酒の密造を防止するため酒母や麹の取締法が出されました。(どぶろく禁止法)酒造税は1899年(明治32年)に地租を抜いて国税収入の第1位を占めると、第一次世界大戦下の大戦景気の数年間を例外として1935年(昭和10年)に所得税に抜かされるまで30年以上にわたって税収1位の地位を保持し続けたのです。なお、1902年(明治35年)には酒造税だけで全ての国税収入の実に42%を占めたこともあったそうです。
現在のビール、焼酎、などを含めた全ての酒税収入は、年間1.5兆円前後、税収全体のわずか3%です。
酒税だけで、国家税収の42%を占めていた時代があったことを思うと、現在、国に多くの仕事を望み、結果、大きな政府を招いてしまっている現状が正しいかどうかを国民がぼちぼち真剣に議論すべきではないでしょうか?
また現代では、日本酒の税のウエートが下がることにより、製造元に対する税務署の指導に微妙な変化が見られます。以前は本筋の「税逃れ」の捜索に重きが置かれていたのですが、近年悲しいかな、帳簿上ミスや、手続きの落しの・・・事務上の「あら捜し」に重点が移ってきているように感じます。一度作ってしまった制度が本来の目的と逸脱して、勝手に一人歩きする悲しい現実がここにあります・・・。